相続開始から財産承継までの一連の流れを詳しく解説

相続開始から財産承継までの一連の流れを、以下の10ステップで解説します。

  1. 相続開始
  2. 遺言書があるかないかを調べる
  3. 相続人となる者を確定させる
  4. 相続財産を調査する
  5. 相続放棄を考える
  6. 準確定申告をする
  7. 遺産分割協議をする
  8. 相続預貯金の解約・株式の名義変更・相続不動産の名義変更をする
  9. 生命保険金の請求、または変更の手続きをする
  10. 相続税の申告と納税をする

1.相続開始

被相続人が死亡した日が相続開始日です。

特に急ぎではない場合、お通夜、告別式が済み、四十九日が終わって落ち着けば実際に相続手続きを始めることになります。

最近では四十九日を待たずに相続手続きを始めることの方が多いくらいで、特に決まりがあるわけではありません。

被相続人の財産を相続人へと承継すべく、手続きがスタートします。

2.遺言書があるかないかを調べる

遺言書がある場合とない場合では手続きに大きな差があります。

遺言書なんてないと思っていたら後から出てきた、というケースは実際に何件もありました。

被相続人が遺言を残しているか否かが不明確な場合、その遺言が公正証書遺言の制度を利用したものである場合は、公証役場で遺言検索のシステムを利用することにより発見することができます。

被相続人が、公正証書で遺言を残した可能性に思い当たる場合は、こちらを利用すると良いでしょう。

相続人であればどなたでも利用することができ費用はかかりません。
委任状があれば代理人が検索することも可能です。

通常であれば、弊所で委任状を頂戴し調査をすることとなります。

→「Q.遺言書が見当たらない、もしくはあとから見つかった場合はどうすればいいですか?

3.相続人となる者を確定させる

特殊なケースを除き、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集めれば誰が相続人となるかはすぐに分かります。
誰が相続人になるかは法律で決まっていますので、戸籍を見れば明らかだからです。

一般的にも、生活の中で被相続人が亡くなる前から誰が相続人になるかは判明しているケースがほとんどでしょう。

内縁の妻・夫に相続権はあるの?

しかし次のようなケースでは思わぬ人が相続人になることがあり、場合によってはトラブルに発展する可能性があります。
4つの例をご紹介します。

❶被相続人に認知した子がおり、交流がない

認知した子(嫡出でない子)は、相続人の一人となりますが、交流がない場合は遺産分割協議に応じてもらえない、または応じてもらえたとしても、協議内容の合意に時間がかかる場合があります。

仮に遺言書があったとしてもその子は遺留分を有しますので手続きには注意を要します。

→「認知すると妻にバレる?戸籍への記載について

❷被相続人が養子をとっており、家族がその事を知らなかった。

稀にこのようなケースがあります。養子は相続人になりますし、遺留分も有します。
養子縁組をした経緯によっては、すんなりいかない場合もあるでしょう。

→「家族に内緒で養子縁組はできる?

❸被相続人自身が養子に入っている

被相続人にお子さんがいない場合、実親だけでなく養親も相続人となります。

このような場合、実親と養親で遺産分割協議をすることになり、これも養子縁組をした経緯次第では協議内容の合意に時間がかかることがあります。

❹相続人が兄弟姉妹で代襲相続が発生しており、面識のない相続人がたくさんいる

つまり、甥や姪が相続人になるケースです。
相続人の数が増えれば増えるほど、手続き終了まで時間を要します。

例えば相続人10人中9人の合意は取れているのに、残り1人が反対する、または連絡がとれない、といったケースは意外に多く、粘り強く案内や提案を続ける必要があります。

相続人は増えれば増えるほど、遺産分割協議が大変です。

→「Q,代襲相続とは何ですか?

4.相続財産を調査する

不動産や株、生命保険、預貯金、現金、動産等に加え借金等の負債も相続財産に含まれます。

不動産は読んで字の如く動かない財産であり、調査は容易ですが、株や生命保険はすぐには分からない場合があります。
それでも毎年1月頃に、各証券会社や保険会社からお知らせが届くので全く分からないということは基本的にはありません。

しかし、タイミングが悪いと遺産分割協議の後に判明することもあり、そのような場合は協議をやり直す、もしくは追加で協議をする必要があります。

また預貯金に関しても注意が必要で、例えば、過去に地方の信用金庫等で作っていた口座があり、住所変更の手続きをしていない場合は、現在の住居に通知が来ないため本人以外分からない場合もあります。
本人がその口座の存在を完全に忘れているような場合もあるでしょう。

相続税の税務調査で家族のだれも知らない預金口座が判明した、というのも、最近でこそあまり聞きませんが、少し前はよく聞く話でした。

叔父や叔母の財産を相続する時は特に注意が必要

実務で遺産漏れが一番発生しやすいケースです。

叔父や叔母の財産を相続するということは、叔父や叔母にお子さんがいない、つまり財産を管理していた人がいない事が多く、財産の全体像の把握から進めなければなりません。

郵便物を一つ一つ丁寧に見ていき、可能性のある金融資産は全て照会をかけていくことになります。

5.相続放棄を考える

大きな借金をしている場合、誰かの連帯保証人になっている場合、不動産や預貯金はあるが負債の方が多いかもしれないというような場合、内容によっては相続放棄を検討しなければなりません。

相続放棄をする場合、原則として相続開始を知ってから3か月以内と決まっていますので、時間的にあまり余裕がありません。

このような場合は四十九日を待たずに相続手続きに取り掛かった方がよいでしょう。

なお、3か月を経過したからといって必ずしも相続放棄が認められないわけではありません。
個別事情にもよりますが、相続開始から5年以上経過しているケースで相続放棄を認めてもらえたケースも多々あります。

→「Q.相続放棄はいつまでにしなければなりませんか?

6.準確定申告をする

税務的なお話になりますが、生前、被相続人に収入があった場合、相続開始を知った日の翌日から4か月以内に確定申告をしなければなりません。
これを準確定申告と言います。

なお、被相続人の所得が給与のみ、または年金のみの場合は、基本的に準確定申告は不要です。

相続発生後はどうしてもバタバタします。
準確定申告をするための書類集めにも一定の時間はかかるため、4か月という期間は長いようで短いとお考え下さい。

弊所が受任する相続関連業務では準確定申告に必要な書類の収集に関してもお手伝いをさせて頂きます。

→「Q.準確定申告が必要な場合を知りたい

7.遺産分割協議をする

遺言がない場合に限りますが、一通りの調査が終われば、法定相続人全員で遺産分割協議をします。
財産と負債を洗い出し、誰がどの財産または負債を承継するかを決める話し合いです。

相続税の申告が不要で、かつ相続人の仲が良ければ簡単なもので構いませんし、内容がざっくりしたものであっても、ある程度は大丈夫でしょう。

しかし不仲である場合はそうはいきません。
しっかり作りこまなければ後々のトラブルの原因となります。

現金や預貯金は分割が簡単ですが、不動産や特に非上場の株式がある場合は大変です。
不動産や非上場株式は、評価の方法が複数あり、どれを選択するかで受け取る遺産額が大きく変動するからです。

→「Q.遺言がある場合、その遺言を無視して遺産分割協議はできますか?

→「相続人が遺産分割協議に合意してくれない場合の対応を解説!

非上場株式の5つの評価方法

  1. 純資産価額方式
  2. 類似業種比準方式
  3. 配当還元方式
  4. ❶と❷の併用方式
  5. その他の方式

細かい計算方法は割愛しますが、上記の5つではそれぞれの金額が全く異なります。
株式は正しく評価をしなければ、相続人間で不公平が生じます。

揉めないためにも、その会社の規模、事業形態、売上、利益等を考慮して最も適正な評価方法を取る必要があります。

不動産の3つの評価方法

  1. 路線価(相続税や贈与税を算定する基準となる、国が決めた評価)
  2. 固定資産評価額(固定資産税を算定する基準となる、市区町村が決めた評価)
  3. 時価または実勢価格(実際に売りに出したら付くであろう価額)

実際に売却できる金額は、これを時価とか実勢価格と言いますが、路線価や固定資産評価額から大きく乖離します。

都会と地方では乖離の仕方が逆転する場合もありますので、お互いが納得し、税務的にもトラブルのないようにしっかりした協議をする必要があります。

8.相続預貯金の解約・株式の名義変更・相続不動産の名義変更をする

預貯金に関しては各金融機関により方法は異なりますが、基本的には相続人のどなたかに対して払い戻しをすることになります。

上場株式も同じで、証券会社に対して株式の名義変更を申請をすることになります。

非上場株式については、会社に対して、株主名簿の書換え請求をすることになります。

不動産に関しては法務局に相続登記申請をし、相続人に対して名義を変更することになります。

→「預貯金の相続について司法書士がしく解説

→「株式の相続方法と必要書類について

9.生命保険の請求、または変更の手続きをする

被相続人が被保険者となっている生命保険は通常、家族のどなたかが受取人になっています。
この生命保険金の請求の手続きをします。

被相続人が受取人になっている生命保険の場合は、受取人死亡を原因として、受取人を変更する手続きをします。

→「生命保険金は相続財産?遺産分割協議と相続税について

10.相続税の申告と納税

皆が皆、相続税の申告をしなければならない訳ではありません。
基礎控除というものがあり、その控除の範囲を超えている場合に限り、相続税の申告が必要になります。

また、申告が必要だからと言って必ずしも納税を要するわけではありません。
各種特例を適用した結果、申告を要するものの納税額が0円になるというケースも多々あります。

弊所では申告に必要な資料のほとんどを相続手続き業務で収集します。
依頼者様のご希望があれば、その資料を提携税理士に引き継ぐことにより、税務申告までの流れをサポートさせて頂きます。

また、税理士側では書類収集の手間がなくなるため、その分を申告報酬からディスカウントしてもらっております。

なお、申告期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内であり、納税期限も同じです。

財産のほとんどが不動産や株式で、納税資金がないという場合は、納税期限までにその不動産や株式を売却をしなければならないこともあるでしょう。

弊所では不動産や非上場株の売却に関するお手伝いも、特段の追加費用なくお手伝いさせて頂いております。

相続開始から財産承継までの流れ まとめ

内容が複雑でない場合は、相続人ご自身で手続きをすることは可能です。

しかし少し複雑になってくると、ご自身でするにはあまりに労力がかかってしまったり、手続きに不備が発生したり、遺産分割協議がまとまらず手続きが進まないということもあるでしょう。

手続きが複雑になれば日常生活における負担は大きくなり、それは大きなストレスとなります。

そのような場合、もしくはそのようなおそれのある場合は、私どものような専門家にお任せ下さい。

弊所では、相続サービスを皆様が利用しやすいよう、なるべく費用を抑えて提供させて頂いております。
また、相談は何度でも無料、費用は一切かかりません。

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