株式の相続に関連するよくある質問を解説
株式の相続は、遺産整理業務の中で最も時間がかかります。
手続きも預金や不動産と比べ、難解です。
証券会社が不明な場合で、株の購入時から何度も住所を変更している場合などは、専門家ですら気が滅入るほど調査が大変なこともあります。
税金の問題も絡みますので、ご自身でお手続きするには、相当に骨が折れることだと思います。
お困りの場合は、ぜひ弊所にご相談ください。
株式の相続は今まで数多く取り扱ってきました。分からないことはありません。
Q1.被相続人がどのような株式を保有していたかを一括で調べることはできますか?
上場株式のみ、個人が株を保有している証券会社名を一括で調べられます。
預貯金一括検索システムは存在しませんが、これに近いシステムが株式にはあります。
証券保管振替機構は通称「ほふり」といいます。
一般の方はほとんど馴染みがない名前かと思いますが、ここに照会することによって、個人が株を保有している証券会社名を調べることができます。
証券会社名さえ分かればあとはその証券会社に照会すれば保有銘柄は判明します。
当然ですが、上場株式のみであり、非上場の株式は「ほふり」では分かりません。
Q2.株式の相続方法について詳しく知りたい
大きく分けて2つ
・株式をそのまま名義変更する方法
・株式を売却してその売却金を受け取る方法
があります。
実務ではほとんどのケースで株式を売却して、その売却金を相続する方法がとられています。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「株式の相続方法と必要書類について」
Q3.相続株式を売却して利益が出ました。確定申告が必要になるのですか?
上場株式は証券会社の特定口座で保有することが大半です。
特定口座では譲渡所得税等は証券会社が本人の代わりに源泉徴収して収めてくれますので、本人は申告手続きをする必要がありません。
しかし次のような場合は、ご自身で申告が必要になります。
- 一般口座である場合
- 特別口座でも源泉徴収なしタイプを選んでいる場合
Q4.遺産に株式があるのは間違いないのですが銘柄も証券会社も分かりません・・・
亡くなった方が株取引をしていたことは間違いないものの、書類が紛失しており証券会社が分からないというケースは意外に多いです。
この場合、証券保管振替機構(通称、「ホフリ」)に対して「登録済加入者情報開示請求」を行えば、故人が保有していた株式の銘柄とそれを管理している証券会社が判明します。
この手続きではひとつ問題があります。
それは故人が住所移転を繰り返しており、証券会社に対して住所変更の手続きを取っていない場合です。
この場合、そのままでは証券保管振替機構は情報を開示してくれません。
解決方法はありますが、非常に手間と時間がかかってしまいます。
また、証券保管振替機構の担当者と個別打ち合わせになることが多く、専門家でも手続きが大変です。
Q5.株式の現物分割の面倒な点とは?
現物分割は株式をそのまま相続する方法ですが、相続人が自分の証券口座を開設しなければならない、という点が最も面倒な部分になります。
相続人が自分でも株取引をしている場合は、すでに証券口座を開設しているので手続きが楽かと思いきや、移管の作業が非常に面倒です。
また、証券会社によっては移管ができない場合もあります。
相続人が複数いる場合は手間も相続人の数分増えることになりますし、何より相続人の方々が株式のまま相続することを望まないことが多いです。
相続人が多い場合は売ったお金を分けてしまう方が圧倒的に手っ取り早いという実情もあります。
実務的にも現物分割はあまり利用されていません。
Q6.タンス株を管理している信託銀行の調べ方
証券保管振替機構(通称、「ホフリ」)に対して「登録済加入者情報開示請求」を行い、特別口座を管理している信託銀行等を特定します。
この開示請求をするには、証券保管振替機構に約6,000円もの費用を支払わなければならない上に、開示されるまでかなり時間がかかります。
この請求の結果、信託銀行が判明すれば、その信託銀行に対して残高証明書の請求を行い、タンス株の詳細が判明する、という流れとなります。
Q7.特定口座と一般口座の違い
特定口座
源泉徴収ありタイプを選択すると、株取引で利益が出た場合、証券会社が税額計算を行い、源泉徴収という形で納税まで代行してくれます。
自分では確定申告が不要になりますので非常に手続きが楽です。
一般口座
この税額計算を自分で行う必要があり、確定申告も自分で行うことになります。
手間がかかりますが、複数の証券会社で株式を売買している場合は、一般口座の方が税金面でメリットがある場合があります。
通常は、ほとんどの方が源泉徴収ありタイプの特定口座を選んでいます。