遺言書についてのよくある質問、司法書士がわかりやすく解説
遺言書を作成するにあたって重要なこと、それは「本人に遺言能力があるか否か」です。
認知症の診断を受けていたとしても、日常会話がある程度できれば遺言能力はあると認定することができます。
簡単な日常会話ができれば、あとは弊所がすべてサポートをしますので、ご不安な方はとにかく一度ご相談ください。
遺言に関するご相談は、早ければ早いほど良いです。
Q1.遺言書を探す方法はありますか?
- 公正証書遺言
- 自筆証書遺言
→調査方法があります
- 自筆証書遺言の調査方法(法務局の保管制度を利用していない場合)
→現状では検索する制度がありません
遺言書の探し方について、詳しくはこちらをご覧ください。
→「遺言書の探し方を解説。公正証書遺言と自筆証書遺言について」
Q2.遺言書が見当たらない、もしくはあとから見つかった場合はどうすればいいですか?
遺言書検索の制度が利用できない場合は、遺品から頑張って探すほかありません。
あとから遺言が見つかった、というケースが一番大変です。
紛争を回避するためなるべく専門家に入ってもらった方がトータルで時間も費用も手間も安く済む事が大半です。
弊所では同種の案件を与り、解決した実績も多数ございますので、一度ご相談頂ければと思います。
遺言書があとから見つかった場合のトラブルについて、詳しくはこちらをご覧ください。
→「遺言書があとから見つかったらどうなる?」
Q3.法務局の自筆証書遺言保管制度とは何ですか?
自筆証書遺言を本人や親族ではなく、法務局が保管する制度です。
公正証書遺言の問題点を補い、時間的・費用的な面でも大変優れた制度と言えます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「法務局の自筆証書遺言保管制度とは」
Q4.遺言がメモ書きやメール等に記載されており、正しい形式を取っていない場合は?
遺言は形式が法律で決まっており、その形式を満たしていない場合は無効となります。
家族関係が一定以上良好であり、遺言として残した内容が遺族にとって許容できる内容である場合、ほとんどのケースで法律上無効な遺言であったとして、それを有効なものと考えることになります。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「メモ書きやメール等に記載された遺言は有効?」
Q5.遺言はいつしたらいいでしょうか?
なかなか元気なうちは遺言を書く、という発想にはなりません。
しかし、実務的には遺言を書いていなかったから困っている、または親に遺言を書いてもらいたいが要介護4~5で認知症も進んでおり、法的にも遺言を書くことができない、というケースが大変多いです。
自筆証書遺言でしたら簡単に書くことができますし、書き直しも容易です。
60代のうちに書くなら書き直し容易な自筆証書にしておいて、70代以降になれば公正証書で書く、というのが一つの方法ではないでしょうか。
Q6.まだら認知症とは?
まだら認知症とは、その呼び名のとおり、認知症の症状が出たり消えたりと、まだらにあらわれる症状のことです。
まだら認知症という認知症の種類があるわけではなく、出たり消えたりしている症状を指して、「まだら認知症」と呼称します。
具体的な症状で言うなら、「理解力は問題ないものの、物忘れが激しい」とか、「その日によって同じことができるとき、できないときがある」という状態です。
よく認知症でも遺言が書けるのか?という問題がありますが、医師から認知症と診断されていても、まだら認知症の場合は遺言を書くことができることがあり、公証人とも連携して慎重に判断をさせて頂くこととなります。
Q7.複数の遺言書が出てきました。どれが有効ですか?
最も後に書かれた遺言が有効な遺言です。
より正確に言うなら前に書かれた遺言と抵触する内容に関しては、後に書かれた遺言の内容が優先され、抵触しない部分に関しては、前の遺言の内容がそのまま有効となります。
Q8.字が書けなくても遺言できますか?
公正証書遺言であれば、字が書けなくても問題なく遺言をつくることができます。
自筆証書遺言の場合は「自筆をすること」が要件となっている関係で遺言することができません。
Q9.遺言執行者は必ず定めないといけないのですか?
定めなくても構いません。
定めるとしても例えば遺言執行者をご長男様にされる等で構いません。
ただし、遺言の執行時に親族間でトラブルが想定されるような場合は、専門職を遺言執行者として指定した方がいいでしょう。
その専門職が間に入って、トラブルにならないよう立ち回るような役目を担うこととなります。
遺言の執行は思いのほか大変です。
相続人が多かったり、有価証券が多数あったりする場合は、私達専門職であっても完了まで6か月以上かかることもあります。
財産の種類が多い場合は、専門職を遺言執行者に指定した方が結果としては安上がりになります。
Q10.外国に居住していますが、遺言できますか?
可能です。
次の2つの方法があります。
- 日本に一時帰国して公証役場で遺言する(公正証書遺言)
- 外国にある日本大使館または領事館で遺言する(公正証書遺言)
どちらでも可能ですが、日本に戻る予定が当面ないのであれば通常は❷で行うことになります。
ちなみに外国居住の場合、遺言の検認が不可能であるため、自筆証書遺言は事実上できません。
Q11.なぜ遺言が相続人のためになるの?
遺言がない場合、遺産の承継には必ず遺産分割協議が必要です。
現金や預貯金は分割が容易ですが、売る予定がない不動産や事業を行っている場合の株式等は価値が付けづらく、遺産分割時に揉める種となってしまいます。
兄弟姉妹の仲は良くても、各配偶者の意見もありますので、当人たちは揉めないと思っていても意外と揉めてしまうケースは多く、揉めてからご相談に来られる方が一定数いらっしゃいます。
一方、遺言を書いておけば、遺留分に反しない限りは、遺産分割協議は不要となりますので、不平不満はあっても揉めようがないのです。
自分の死後、家族や親族が揉めないように準備をしておくことはとても大事なことです。
Q12.すべてを承知の上で遺留分に反した遺言を書く場合もある?
何が何でも特定の相続人には財産を渡したくないというケースもあるでしょう。
遺留分を無視した遺言を書けば、自分の死後、相続人が遺留分侵害額請求を受けてしまう可能性があります。
しかし遺留分侵害額請求はあくまで権利であって、100%行使されてしまうというわけではありません。
また仮に行使されたとしても、遺留分に相当するお金を渡せば法的には解決できてしまう部分もあり(当然、最終解決に至るまではそれ相応の困難は想定されますが)、すべてを承知の上で遺留分を無視した遺言を書くことはあります。