相続と認知に関連する、よくある質問を解説
認知をすると、認知をした人、された人の戸籍にはその内容が記載されることになります。
認知をした人の場合、認知した子の名前だけではなく、その母の名前まで自分の戸籍に載ります。
婚姻届けを役所に提出しようと思ったところ、相手の戸籍に認知した内容の記載があり、子がいることが判明したので婚姻届けの提出を保留にしているのですが・・・という内容で相談を受けたことも過去にありました。
Q1.認知とは何ですか?
婚姻関係にある男女から生まれた子を「嫡出子」といい、婚姻関係にない男女から生まれた子を「非嫡出子」といいます。
非嫡出子であっても母親は出産の事実により、子との間に当然に法律上の親子関係が生じますが、父親はそうではありません。
父親は非嫡出子を自分の子であると「認知」することにより、初めて法律上の親子関係が生じることになります。
Q2.認知をすると父母の戸籍にはどのような記載がされますか?
認知をした場合、された場合、「誰が誰を認知したのかとその血縁関係」は全て戸籍に載ってしまいます。
認知をしたからといって、すぐに家族に知られてしまうわけではありませんが、戸籍謄本を見ればすぐ分かることとなります。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「認知すると妻にバレる?戸籍への記載について」
Q3.認知された子の法定相続分は、通常の子と区別されますか?
法定相続分は嫡出子と同じ割合になります。
婚姻関係にない夫婦の子でも父親から認知されれば、その子は父の相続においては法定相続人となります。
この場合の認知された子を「非嫡出子」と表現します。
平成25年12月5日に民法が改正されるまでは、非嫡出子の法定相続分は嫡出子(婚姻関係にある夫婦間の子)の2分の1でした。
しかし、この非嫡出子の相続分を通常の2分の1にするという法律は憲法違反とされ、上記の民法改正により、嫡出子と同じ割合になりました。
Q4.認知したという事実は隠すことができますか?
認知をすると戸籍に「認知をした」という事実が載ります。
しかし本籍地を移転(これを転籍といいます)した場合、移転後の新しい戸籍には認知をした事実は転記されない仕様になっています。
例えば独身の男性が認知をしていたとしても、転籍をすることにより、認知をしたことを事実上隠すことができるというわけです。
もちろん戸籍を遡って調べられるようなことがあれば、認知の事実は発覚するわけですが、そのような調査がされるケースはちょっと想像がつきません。
逆に言えば、婚姻をしている状態で認知をすると夫婦の戸籍にしっかり認知の事実が載り、夫だけ転籍するということは戸籍制度上もできませんので、認知の事実を隠すようなことはできない、ということになります。