株式の相続について詳しく解説。相続株式を売却する場合の注意点も

遺産に株式がある場合、その株式の相続手続きもしなければなりません。
株式の相続手続きは預金のそれとは異なり複雑になるケースが多いです。

場合によっては、専門家ですら大変で、手続き開始から終了まで半年以上かかる場合もあります。

株式の相続について順に見ていきましょう。

株式の3つの分割方法

株式をどのような形で相続するのか、これには3つの方法があります。

1.換価分割によって相続

株式を株式のまま相続するのではなく、株式の売却金を相続人間で分け合う方法です。

売却金をどのような割合で分けるかを遺産分割協議で決めることになります。

実務ではこの分割方法が最も多く利用されています。

2.現物分割によって相続

換価分割のように株式をお金に換えるのではなく、株式そのものを相続する方法です。

例えば、200株ある株式を2人で100株ずつ相続する、というのが現物分割の典型です。

相続人が株式投資に強い興味がある場合や、相続人自身が日々株式投資を行っている場合では、この現物分割の方法が用いられることがあります。

現物分割は面倒な点があり、実務で利用される割合はあまり多くありません。

→「Q.株式の現物分割の面倒な点とは?

3.代償分割によって相続

株式を1人の相続人が相続する代償として、他の相続人に対して現金を支払う方法を代償分割と言います。

例えば1000万円分の株式があり、それを長男がすべて相続する代わりに、長男から次男に現金500万円を支払う、というようなケースです。

この代償金500万円の支払いは、遺産分割協議書に明記をしておかないと単なる500万円の贈与と取り扱われてしまう可能性があるので注意が必要です。

株式の評価の仕方

株式には売買値以外に、相続税を算定するために用いる相続税評価額というものがあります。

この評価額が低ければ低いほど相続税が安くなるわけですから、この評価額の計算方法は重要な事項です。

この計算方法にはルールがあり、原則として「相続発生日の終値」を用います。
しかし、あまりにも株価が急激に動き、「相続発生日の終値」を相続税評価額とすることが相続人にとって不利益になってしまうこともあります。

そのような場合は、以下の3つの価格のうち最も低い価格を相続税評価額として用いることができます。

  1. 相続発生日の月の毎日の終値の平均額
  2. 相続発生日の前月の毎日の終値の平均額
  3. 相続発生日の前々月の毎日の終値の平均額

相続株式を売却する場合の注意点

株価変動のリスク

相続発生から株式の売却までには一定の期間を要するため、その間に大きく株価が変動するリスクがあります。

相続発生時は1000万円の評価でも、実際に売却するときは100万円になっていた、というようなことがあるかもしれません。

しかしこれは逆もまた然りなので、株価が上がればその恩恵を享受することになります。

儲けが出た場合は税金がかかる

相続株式を売却したことにより利益が出てしまうことがあります。

利益が出るのは嬉しいことですが、証券口座が一般口座である場合、利益が出ると譲渡所得税の申告が必要になってしまいます。

特定口座であれば証券会社が天引きしてくれますので、ご自身で申告する必要はありません。

→「Q.特定口座と一般口座の違い

株式の取得費が分からない場合は計算が大変

同時に購入した上場株式の1銘柄を、一度で全て売却するのであれば簡単です。

その場合の取得額は取引報告書を見れば載っているからです。

問題は、上場株式を複数銘柄購入したり、期間をかけて何度も購入し、そのうちの一部のみを小出しに売却したようなケースです。

この場合、取得額は法令で次の方法により計算するように定められています。

 →総平均法に準ずる方法で1単位の基準額を算出し、その基準額に売却株式数を掛ける

取引報告書や顧客勘定元帳を証券会社から取り寄せ、自分で上記の計算をし、株式の取得額を計算しなければなりません。

もうすでに何を言っているか分からない、という感じかと思いますが、株式の相続は本当に面倒なのです。

実際は申告を任せる税理士が細かい計算を行いますので、依頼者様自らが計算をする必要はありません。

株式の相続で、証券口座が特定口座ではなく一般口座の場合、利益が出てしまうと計算が大変とご理解をして頂ければ問題なしです。

タンス株の名義変更はとにかく大変

タンス株というフレーズ自体、あまり聞き馴染みがないものだと思います。

タンス株とは2008年12月3日までに証券会社に預けていなかった手元にある株式のことを指します。

2009年1月に上場株式は電子化され、証券保管振替機構(通称、「ホフリ」)によって電子的に管理されるようになりました。

一方で、証券会社に預けていなかった株式は電子化されずそのまま株券として世に残り続け、証券会社ではなく信託銀行が特別口座でその記録を管理することとされました。

通常、株式の名義変更は証券会社で行いますが、タンス株の名義変更は証券会社ではなく信託銀行で行わなければなりません。

どの信託銀行がタンス株を管理しているかを調べるのが非常に面倒な作業となります。

信託銀行が分かれば、あとはその信託銀行の指示通り、タンス株の名義変更の手続きを行うことになります。

→「Q.タンス株を管理している信託銀行の調べ方

タンス株と通常の株式の比較

タンス株通常の株式
その内容2009年の株券電子化の際に、証券会社に預けていなかった株式 2009年の株券電子化の際に、証券会社に預けていた株式
2009年電子化以降信託銀行が特別口座で管理→相続手続きは信託銀行が取り扱う証券保管振替機構(通称、「ホフリ」)で管理→相続手続きは証券会社が取り扱う
株式の調査方法証券保管振替機構に対して「登録済加入者情報開示請求」を行い、特別口座を管理している信託銀行等を特定したうえで、その信託銀行に対して、残高証明書を請求する。❶証券会社に確認する。
❷毎年証券会社から送られてくる取引残高報告書を確認する。
❸証券会社が分からない場合は、証券保管振替機構に対して、「登録済加入者情報開示請求」を行う。

未受領配当金の相続手続きも必要

多くの株式は、だいたい年2回配当金を出します。

何かしらの理由でこの配当金を受け取ることができていない場合があり、株式の相続手続きの際にはこの未受領配当金の相続手続きもあわせて行います。

未受領配当金は、その株式の株主名簿管理人となっている信託銀行に対して請求を行うのですが、これもまた大変面倒な手続きになります。

また、この未受領配当金には時効(3年または5年)があり、時効にかかっている場合は請求することができないことにも注意が必要です。

弊所に依頼される場合のメリット

  1. 費用が比較的リーズナブル
  2. 実務歴14年、どのような複雑な案件でも対応可能です
  3. 株式以外の相続手続きもすべて対応いたします
  4. お手続き完了後も、相続に関するご相談はずっと無料です

株式相続のまとめ

株式の相続手続きを細かく説明すると、読む気が失せてしまうくらい面倒な内容になってしまいます。

要点だけをまとめましたが、預金の相続に比べるとやらなければならない事が多く、難易度は高いです。

また、証券会社から郵送されてくる相続書類は、書いていることが難しいというか非常に分かりづらいところが多いです。

最初から、一般の方に対しては、株式の相続手続きをさせたくないのではないか?と思ってしまうくらいです。

今まで接した依頼者様も、預金の相続は自分でできたものの、不動産や株式の相続は無理だったので依頼したいという方が比較的多かったように思います。

弊所では株式の相続をはじめとする遺産整理業務は、ご利用して頂きやすいよう費用を抑えてご案内しております。お困りの方はぜひ一度ご相談ください。

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