相続登記の流れを詳しく解説。発生しやすい独特の問題とは

相続登記は大きく分類すると、下記の3つのプロセスで構成されています。

  1. 戸籍関係書類を収集し、法定相続人を確定させる
  2. 法定相続人全員で遺産分割協議を行い、不動産の相続者を決める
  3. 法務局へ相続登記の申請

❸は単なる登記申請行為ですので、問題が生じることはありません。

一方で❶や❷には独特の問題が発生することがあります。それを見ていきましょう。

1.戸籍関係書類を収集し、法定相続人を確定させる

不動産の相続者を決めるには遺産分割協議をするわけですが、この遺産分割協議には法定相続人全員が参加しなければなりません。

この法定相続人を確定させるため、被相続人(亡くなった人)の生まれてから亡くなるまでの戸籍を収集し、戸籍を読み解き、法定相続人が誰なのか、これを特定しなければなりません。

法定相続人確定の途中で起こる問題等

取得すべき戸籍が多い

被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの戸籍が必要になるところ、戸籍は1つで済むことはありません。

結婚して新たな戸籍に移ったり、本籍の場所を変更する転籍をしたり、法律の規定により戸籍が改製され新たな戸籍に移行したりなど、人が生まれてから亡くなるまで戸籍はいくつも変わっていきます。

亡くなった人が多くいればいるほど、収集すべき戸籍は増えていきます。

古い戸籍は何が書いているか非常に分かりづらい

古い戸籍は手書きです。

その当時、戸籍を記入した役所担当者のクセにもよりますが、本当に何が書いているか分からない場合があります。

しかも書き方が現在の戸籍とはルールが異なっており、とにかく分かりづらさが尋常ではないことがあります。

読みづらさも相まって、専門家が見ても理解ができないような戸籍謄本も稀にあります。

全く想定外の相続人が出現する場合がある

過去に別の異性との間にお子さんがおり、認知をしていたケースが典型です。

認知をすると「認知をしたという事実」が戸籍に記載されるのですが、転籍をすると認知をした事実は、新しい戸籍には記載されません。

これは戸籍制度の仕様上、仕方のないことであり、意図せずして戸籍ロンダリングのような事態がおこってしまうのです。

結果、亡くなった方の配偶者の方も認知した子がいることに最後の最後まで気が付いていなかった、ということが起こりえます。

→「Q.認知したという事実は隠すことができますか?

2.法定相続人全員で遺産分割協議を行い、不動産の相続者を決める

法定相続人が確定したら、全員で遺産分割協議を行います。

必ずしも全員が同じ場所に集まって同時に署名押印をしなければならないわけではありません。

相続人が多い場合、一つの場所に皆が集まることは難しく、現実的ではありません。

実務では、同じ内容の遺産分割協議書を相続人の数だけ作成し、各相続人にそれぞれ都合の良いときに署名押印をもらう形で進めています。

遺産分割協議において発生する問題

一人でも協議内容に反対すると手続きが止まってしまう

遺産分割協議は全会一致が必須であり例外はありません。

相続人が10人いたとして、9人が賛成でも残り1人が反対すれば協議は不成立となり、一から手続きがやり直しとなってしまいます。

協議が整わない場合、遺産分割調停となる

当事者の話し合いで解決しない場合、裁判上の手続きによるほかありません。

当然ですが、裁判上の手続きをご自身で行うことは難しく、通常は弁護士にお願いすることになります。
弁護士報酬は決して安くはないため、各相続人にかかる負担は重いです。

そもそも協議に応じない相続人がいる

実務でけっこう多いケースです。

協議内容に反対するのではなく、どれだけ連絡をしても最初から協議に参加してくれない方もいます。
そもそも居場所が不明という場合もあります。

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