遺族年金請求とは。受給要件や請求に必要な書類も詳しく解説します
遺族年金とは
遺族年金とは、家計の稼ぎ頭であった方が亡くなった場合、その遺族に対して支給される年金のことです。
ご遺族の方がすでに老齢基礎年金を受給していたとしても、その年金に加えて遺族年金を受給することができます。
遺族年金は、ご遺族にとってその後の生活の支えとなる大事なお金です。
ご自身が遺族年金の受給資格があるかどうか、事前に知っておくことは大事ですし、資格がある場合はその請求手続きを漏れなく行う必要があります。
遺族年金について弊所で行う手続き
弊所では遺産整理業務の一環として、相続登記や預金の相続手続きと合わせて、遺族年金の請求手続きも行っています。
追加の費用はほとんどかかりませんので、相続登記をご依頼される場合は、合わせて遺族年金の請求も依頼して頂いた方が、お手間がかかりませんのでお勧めです。
遺族年金という言葉を聞いたことのある方は多いと思いますが、その内容を細かく知る機会はあまりないと思います。
以下では遺族年金について、その趣旨や要件を簡単に説明させて頂きます。
2つの遺族年金
遺族年金には、亡くなった方が加入していた年金に応じて2種類の年金があります。
- 亡くなった方が国民年金加入者→遺族「基礎」年金
- 亡くなった方が厚生年金加入者→遺族「厚生」年金
- 亡くなった方が共済年金加入者→遺族「厚生」年金
※平成27年より共済年金(公務員が加入していた年金)が厚生年金に統合され、それに伴い遺族共済年金も遺族厚生年金に統合されました。
遺族基礎年金の受給要件
遺族年金は誰でも受給できるわけではありません。
亡くなった人の要件、遺族の要件、それぞれを満たしている必要があります。
少し複雑ですので細かく見ていきましょう。
亡くなった人の要件
❶~❹のどれかに該当する必要があります
- ❶国民年金に加入中に死亡したとき
60歳の誕生日を迎えた瞬間に加入期間が終了します(毎月の国民年金保険料を支払う必要がなくなる)ので、60歳の誕生日を迎えるまでに亡くなった場合が該当します。
ただし、後述する別途条件を追加で満たす必要があります。 - ❷国民年金に加入していた60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
つまり加入者期間終了後、65歳になるまでに間に国外に転居してしまうと遺族年金支給の対象外になってしまうということです。
また、❶と同じで後述する別途条件を追加で満たす必要があります - ❸老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき
通常、老齢基礎年金の受給は65歳からになりますので、所定の期間、国民年金保険料を支払い、受給資格を取得したうえで65歳以上になった方が亡くなった場合が対象です。 - ❹老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
保険料納付済期間、保険料免除期間の合計が25年以上であれば、老齢基礎年金の受給資格を得ます。
その後、何かしらの理由で国民年金から脱退した方も対象ということです。
※❶または❷に必要な別途条件について→原則として、死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。
例えば、20歳から国民年金に加入し、10年間納付を続け、その後10年間は納付をせずに死亡した場合は、この要件を満たさないことになり、その遺族は遺族基礎年金を受給することができないことになります。
ただし条件の緩和があり、死亡日が令和8年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければ受給することができるという取り扱いです。
遺族の要件
❶と❷の両方に該当する必要があります
- 亡くなった方に生計を維持されていたこと
生計を維持されていた方の収入が850万円未満である必要があります。
あまりに収入が多いと自立しているとみなされるわけですが、そのラインが年収850万円と設定されています。
また、生計が同じでなければなりません。
同居していれば問題ありませんが、別居していても仕送りを受けていたような場合は、生計を維持されていた、に該当します。 - 子のある配偶者、または子
子とは18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方をさします。
ちなみに、遺族基礎年金を受給している途中で、子が18歳の3月31日を超えてしまうとその時点で遺族基礎年金の支給は終了することになります。
遺族厚生年金とは
国民年金に対応するのが遺族基礎年金、厚生年金に対応するのが遺族厚生年金とお考え下さい。
いわゆるサラリーマンの方が加入する社会保険(の中の厚生年金保険)に加入している方が死亡した際に、遺族が受け取ることができる年金です。
遺族厚生年金は、遺族基礎年金に加算されて支給されます。
なお、平成27年に公務員を対象とする共済年金と統合され、公務員も遺族厚生年金の対象となりました。
遺族厚生年金の受給要件
遺族厚生年金には遺族基礎年金と同じように受給要件があります。
亡くなった人の要件は似ていますが、少し異なっています。
遺族の要件に関しては、要件というより対象者と受給できる遺族年金の種類が異なります。
かなり細かいですが、順に見ていきましょう。
亡くなった人の要件
❶~❹のどれかに該当する必要があります
- 厚生年金の加入者が死亡したとき
- 厚生年金保険の加入者である間に初診日がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡したとき
- 障害の程度が1級または2級の障害厚生年金を受けている人が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給権者または老齢厚生年金を受けるために必要な加入期間の条件を満たしている人が死亡したとき
遺族の要件
- 亡くなった方に生計を維持されていたこと
遺族厚生年金の受給対象者とその内容
遺族厚生年金の受給要件を満たした場合、下記対象ご遺族のなかで順位の一番高い方が受給することになります。
ご遺族 | 受給の優先順位 | 死亡した方が厚生年金保険に加入していることが必要 |
---|---|---|
受給遺族年金の内容 | ||
子のある妻 | 1位 | 遺族厚生年金 + 遺族基礎年金 |
子のある55歳以上の夫 | 1位 | |
子 | 2位 | |
子のない妻 | 3位 | 遺族厚生年金+中高齢の寡婦加算 |
子のない55歳以上の夫 | 3位 | 遺族厚生年金のみ |
55歳以上の父母 | 4位 | |
孫 | 5位 | |
55歳以上の祖父母 | 6位 |
遺族年金の請求に必要な書類(すべての方共通)
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
基礎年金番号と加入期間を確認するためです。
提出できない場合は別途理由書を作成することで代用できます - 戸籍謄本(遺族年金の受給者となる方のもの)
亡くなった方と受給者との続柄を確認します - 世帯全員の住民票(亡くなった方が載っている必要があります)
亡くなった方と同一世帯であるなど、生計維持関係を確認します - 請求者の収入が確認できる書類(所得証明書や源泉徴収票など)
年収850万円未満であることを確認します - 子の収入が確認できる書類(義務教育終了前は不要)
高等学校等に在学中の場合は、学生証で代用できます - 死亡診断書のコピー
死亡の事実および原因、死亡年月日を確認します - 請求者(遺族)名義の受取先金融機関の通帳など
遺族年金の振込先を確認します
上記に加え追加で必要になる書類(死亡の原因が第三者行為の場合)
- 第三者行為事故状況届(専用書式あり)
- 交通事故証明
事故証明が取れない場合は、事故内容が確認できる新聞のコピー等で代用可 - 確認書(専用書式あり)
- 被害者が子等を扶養していた場合は、扶養していたことが分かる書類
源泉徴収票等が該当します - 損害賠償金の算定書
示談が成立している場合は、示談書等が該当します
遺族年金まとめ
遺族年金の手続きは思いのほか大変です。
役所等での必要書類の収集や、年金事務所での手続きは平日しか対応していません。
手続きは1日ではなかなか終わりませんから、平日に何日か休みを取らないといけないことを考えると余計大変です。
弊所では遺産整理業務の一環で、書類の収集から申請手続きまでを行いますので、お時間を取るのが難しい方はぜひ相続登記等の遺産整理業務とともにご依頼ください。
弊所の強み
- 遺産整理業務の一環として、書類収集、手続きを行うため費用が安い
- 分からないことが何でも聞ける
- 遺産整理業務の成果物(戸籍その他の書類)を納品させて頂きますので、その成果物を使い、遺族年金の請求はご自身で行う、ということも可能です