家族信託に関連するよくある質問、司法書士が解説
家族信託は比較的最近出来た認知症対策制度の一つです。
制度が複雑であるため、あまり利用件数は増えていませんが、後見制度と比べると明らかな強みを持っています。
実際、実務で運用されている状況を見たときに、これは相当便利な制度だとしみじみ思います。
今まで様々な家族信託を取り扱ってきましたので、複雑なケースにもしっかり対応可能です。
家族信託にご興味のある方は、ぜひ弊所にご相談ください。
Q1.認知症になってからでも家族信託はできますか?
認知症の進行具合にもよりますが、基本的には難しいとお考え下さい。
信託は少し複雑な制度になりますので、ご本人がその内容をある程度しっかりと理解できなければなりません。
家族信託はよく認知症対策と言われますので、認知症になる前に、ご自身の判断能力に問題がない状態であるときに、将来の認知症対策として行うものとなります。
ただ、認知症にも症状が比較的軽いものもございますので、ご不明な場合は遠慮なくお電話等にてご相談下さい。
Q2.信託できる財産にはどのようなものがありますか?
法律上、信託財産の種類には制限がありません。
一般的には不動産、預貯金が圧倒的に多いですが、例えば
- 株式等の有価証券
- 貸金債権
- 請負代金債権
- ご自身の飼育するペット等
を信託することも可能です。
信託する相手が信頼できる家族であるからこそできることだと言えますね。
Q3.受託者(信託で財産を管理している人)が死亡した場合、信託はどうなってしまうのですか?
信託契約では、受託者が死亡したら、その信託はどうするか?という項目を必ず定めます。
一般的には受託者が死亡すると次の受託者が業務を行う、例えば「受託者は長男とする、長男が死亡すると次は次男が受託者となる、次男が死亡すると三男が受託者となる」という風に定めることが多いです。
1代限りという内容にしたいのであれば、受託者が死亡したらその信託は終了する、と定めることもあります。
少し専門的な部分がありますので、実際にご相談頂く際に詳しくご説明させて頂きます。
Q4.抵当権等の担保(住宅ローンなど)がついている不動産でも信託できますか?
可能です。ただし、その金融機関から承諾を得る必要があります。
金融機関によっては家族信託に関して不慣れなところもあり、弊所から金融機関に向けて家族信託に関する説明をさせて頂きます。
通常、銀行の稟議がおりるまで少し時間はかかりますが、問題なく手続きは可能です。
Q5.信託契約書は公正証書でつくる必要がありますか?
法律上は自筆でも可能で、何ら問題がないはずなのですが、弊所では公正証書をおすすめしています。
というのも家族信託という仕組みについて、金融機関等の理解がまだ完全には進んでおらず、自筆で作った信託契約書の場合は、手続きにかなり時間がかかる、または金融機関によっては断られるケースもなくはありません。
その点、公正証書で作成しておけば、文書が真正に成立したことに関し、強い証明力がありますので金融機関に対して説明がしやすいです。
Q6.信託契約の中身を途中で変更したい
簡単に変更することができます。
公正証書で作成した信託契約書の場合でも、変更は公正証書によらず、自筆で行います。費用が安く済みます。
Q7.家族信託のデメリットを教えてください
強いて言えば信託が比較的新しい制度であるため、一部の法的事項、例えば借地上の建物を信託するのに地主の承諾が必要なのか、信託受益権と遺留分侵害額請求の取り扱いなどに関して、完全に実務が固まっていない、という点でしょうか。
しかし、地裁レベルでは取り扱いが明確に出ていますので、実際問題としては気にする必要はありません。