成年後見についてよくある質問、司法書士が解説

成年後見制度はどうしても柔軟性に欠けます。

認知症対策に分類される制度ではありますが、近年では家族信託など、成年後見制度より使い勝手の良い制度も登場してきました。
しかし成年後見制度しか適用できない事案も多々あり、認知症対策制度の中では最も多く用いられています。
利用件数も増加の一途を辿っています。

Q1.後見人はどのような仕事をするのですか?

本人と定期的な面談により健康状態、生活状況を把握し、財産を適切に管理し、本人の代理人として契約行為等を行います。

Q2.成年後見人に支払われる報酬はいくらですか?

法定後見の場合、被後見人の保有する財産に比例します。
おおよそで毎月2万円~3万円程度が相場となりますが、金額は家庭裁判所が決定します。

任意後見の場合、任意後見契約書に報酬額を定めます。

全体的に法定後見の報酬より少し高くなることが多いですが、あまり大きな差はありません。

Q3.後見人になったら家庭裁判所に対する事務報告の頻度を知りたい

基本的に1年に1回となります。

Q4.成年後見人の業務はいつ終わるのですか?

ご本人の判断能力が回復する、または本人が死亡する、このどちらかまで続きます。

後見人が変更されることはあっても、後見人自体がいなくなることはありません。

Q5.身内は成年後見人になれないのですか?

財産が少額の場合は、身内でも後見人になることができます。

各地方の家庭裁判所の基準によりますが、概ね500万円以上の財産を有する場合は、身内の方ではなく専門職後見人が選任されることとなります。

Q6.後見制度のうち、後見、保佐、補助、の違いを簡単に教えてほしい。

裁判所が公開する基準として、例えば契約行為があったとして、

  • 後見:その意味を全く理解ができない程度
  • 保佐:他人から支援を受けることができれば契約の意味を理解することができるレベル
  • 補助:基本的に自分で理解はできるが、たまに他人からの支援を要する場合がある程度

とされています。

後見人→保佐人→補助人、の順に権限が少なくなっていきます。

Q7.後見申し立ては誰でもできるのですか?

基本的に本人、配偶者、四親等内の親族のみ申立てが可能です。

本人が申し立てるというのは事実上不可能なので、実際は親族からの申立てとなります。

Q8.後見人は本人の意思を代弁して、本人の子に資金援助等ができますか?

気持ちは分かりますが、後見人が選任されると、基本的に本人の利益を損なうような行為は一切できなくなります。

例えば、子が事業をするので資金援助をする、等は通常であれば十分あり得ることではありますが、本人に見返りのない財産の減少は基本的に裁判所が認めてくれません。

ただし、事情次第では認められることもあり、個別具体的な事情を考慮し、最終的には裁判所が判断します。

Q9.もともと父に扶養されていましたが、父が被後見人となったあとでも扶養を受けられますか?

父親に扶養義務がある場合や、援助の継続が相当であり、本人の意思に沿うのであれば、本人の財産から生活費を支出しても良いとされています。

しかし裁判所に必ずお伺いを立てる必要があり、扶養をする事情を裁判所にしっかりと説明する必要があります。

事情次第では子のための生活費支出が認められない場合もあります。

Q10.本人所有の不動産に抵当権をつけて、子のためにお金を借りたい。

できなくはありませんが、事情を家庭裁判所に説明する必要があります。

借金を負うのは子でも、返済が滞った場合、本人の不動産が差し押さえられてしまうからです。

Q11.本人所有の土地を分筆したいのですが

分筆は処分行為ではないため、特段の制限なく行うことができます。

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