建物の種類変更について
建物の種類を変更する登記があるのをご存じですか?
建物の登記簿謄本をご覧になったことがある方はご存じかもしれませんが、建物の登記の表題部には建物についての以下の情報が記録されています。
- ・所在・・・・・建物の所在地番が記載されています
- ・家屋番号・・・建物を特定するための個別の番号が記載されています。
- ・種類・・・・・居宅など、その建物がどのような用途で使用されているかを表しています。
- ・構造・・・・・建物を構成する素材と屋根の種類、何階建てなのかを記載しています。
- ・床面積・・・・各階の床面積が記載されています。
- ・その他・・・・新築年月日や、増築年月日などが記載されています。
この中で建物がどのような用途で利用されているかを表しているのが【種類】です。 よく目にするのは「居宅」「車庫」「倉庫」「共同住宅」「店舗」「事務所」「工場」などですが、それ以外にも建物の用途に応じて様々な種類が存在します。
今回ご依頼を受けたのは、7階建ての共同住宅で、1階のみが店舗として利用されていた建物で、登記簿上の種類は【共同住宅・店舗】となっている建物です。この建物の種類を共同住宅のみに変更してほしいというご依頼でした。 1階を店舗として使用していた賃借人が数年前に退去したことを契機に、現在は1階も共同住宅になっているため、建物の種類が現況と登記簿で異なっており、建物の種類を変更したいという内容です。
どんな作業をするのか
①該当建物の現地を調査します。
現況の1階部分が店舗ではないことが証明できる写真を撮らせて頂きます。また、1階から7階が共同住宅であること確認します。
②建物の形状及び、敷地に対しての配置が既存の建物図面と比較して差異がないかを確認します。
事前に増築等はしていないことを確認していましたが、建物の寸法が図面の通りなのかを確認します。
※こういうときに実は増築してました…なんていうことが発覚することがあります。
③事務所に戻って登記に必要な書類を作成して登記を申請します。
法務局に提出する不動産調査報告書に、どのような経緯で店舗が共同住宅に変更されたのかを写真をつけて詳しく記載します。
どういうときに建物の種類を変更する登記が必要になるのか?
本来であれば建物の所有者は実際に建物の種類が変更されてから、1か月以内に登記を申請する義務があります。
実際のところ、よくあるのは中古物件を購入する際に、登記簿上の種類と実際の用途が異なる場合、購入する建物に担保権を設定するため種類を現況に一致させないと担保に入れれないため、種類を変更しないといけなくなることが多いです。これは種類だけではなく、増築してるのに登記されていない場合などでも、その物件を担保に入れるには現況と登記簿の床面積が異なれば、正しく登記をすることを求められます。
建物の種類を変更する建物表題部変更登記は、これまでもあまりご依頼のあった案件ではなく貴重なケースでしたので、ご紹介しました。